摂食・嚥下障害とは

病気や怪我等によって唇や舌、のどに麻痺等が起こり
食べる事が難しくなる障害のことを摂食・嚥下障害と呼び、次のような症状が見られます。

・食事中にむせる
・食べ物がのどに引っかかる
・食べ物をうまく噛めない  など

食べ物や飲み物が気管に入ると肺炎を起こすことがあり(誤嚥性肺炎)、また体重減少や脱水の原因にもなります。

「食べる」「飲み込む」の
リハビリテーション

「口から食べられない」
「上手く飲み込めない」

摂食・嚥下に障害がある患者さんにとっての食事は、窒息や誤嚥性肺炎等の危険と隣り合わせです。
当院の摂食・嚥下リハビリでは、口腔内の清潔保持、栄養管理を基本に、適切な評価と治療を行い、少しでも安全に口から食事ができることで生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)が良くなるよう取り組んでいます。
また、治療には医師や看護師、言語聴覚士、管理栄養士など多職種が関わり、多方面からリハビリをサポートします。

リハビリの目標

日々の生活に「安全」と「生きる楽しみ」を確保できるよう、以下を目標の基準として栄養摂取を確立することを目指します。

  • 三食、口から食べること
  • 難しい場合は代替手段で栄養を管理し、少しでも口から食べる楽しみを持つこと
  • 誤嚥性肺炎を予防し、良好な全身状態を保って生活すること

入院当日の食事評価

  • 入院して最初の食事に医師、管理栄養士、言語聴覚士が同席し、実際の食事場面を見て判断します。
  • 食べやすい良い姿勢を作り、軟食・ミキサー食など食形態の調整などを行うことで、当日から安全な食事がとれるよう環境を整えます。
  • 効果的な口腔ケアを行い義歯作製や調整などについて歯科医に依頼し、口から食べるための方針を決めます。

必要に応じて、以下の検査を行います。

嚥下造営検査(VF)

レントゲン室でX線を照射しながら行う飲み込みの検査です。バリウムなどの造影剤を含んだ飲み物や食べ物を実際にとって頂き、どのように口から胃へ運ばれていくか、一連の流れを録画しながら確認します。

嚥下内視鏡検査(VE)

鼻の穴からファイバースコープ(内視鏡)を挿入し、飲み込むときの喉の動きや感覚、発声時の声帯の動きを直接映像で確認し、嚥下機能・声帯の形態や動きに異常がないか検査します。

主なリハビリ内容

1.口腔機能訓練

摂食嚥下機能が低下している方には、口内環境の改善や口周りのマッサージ・筋力トレーニングなど患者さんの状態に応じた訓練を施すことで、口腔機能の向上を目指します。

  • 口腔ケア
  • 嚥下体操
  • 口腔周囲筋マッサージ、筋力トレーニング
  • 経皮的電気感覚刺激療法
  • バルーン法  など

毎食後のオーラルケア

口腔周囲筋マッサージ

2.姿勢の改善、調整

正しい噛み合わせ、飲み込みの状態を作るために、まず姿勢の改善を行います。足の裏を地面につけて上半身をお尻と腰でしっかりと支え、背筋を伸ばすことで内蔵の位置も整い消化も良くなります。

3.食形態と栄養サポート

嚥下食

当院では「軟菜食」「ミキサー食」など、患者さんの嚥下障害の状態に合わせ、数種類の食形態に対応しています。
また患者さんが現在食べている形態を、退院後に自宅や施設でも提供できるよう、作り方を提案・共有しています。

栄養サポート

患者さんの入院時の栄養状態から、リハビリに耐えられる身体を作るためにカロリーと栄養素の必要量を計算します。なるべく三食口から食べられるよう補助食品なども視野に入れ、患者さんの嗜好を考慮し医師や言語聴覚士とも相談しながら、食のコーディネートを検討しています。